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花園予選の初戦は金足農業と対戦

9月27日(土)に行われた、全国高校ラグビーの秋田県予選。

初戦は金足農業と対戦しました。野球部から3名、化学部から1名の助っ人が合流し、単独チームでの出場です。

以下は、OBの吉田建雄君によるレポートです。

熱のこもった文章をぜひお読みください。

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まずは予選の1週間前の土曜日の秋大(医学部)との合同練習の話から。

前日金曜日に長いテスト休みを終え、久し振りのスクラム練習等で身体的疲労ピークの中、助っ人の部員への説明を含む指導、余所行きの普段とは違った練習会場、天候は少雨と様々な要因が重なる中、彼らなりには普通の練習をこなしたつもりでも、口うるさいOB吉田建雄からは「勝つチームの雰囲気ではない、開幕1週間前はもっとピリついて、こだわりがあるはずだ」。その後の花園予選激励会でも「オレの見立てだと、相手金農は5回やって1回勝てる力の差、勝率20%。だけどその1回を最初に持ってくるのが秋高だ」と好き勝手言われる始末。

だけど今年の3年生はそれを謙虚に受け止めて、しっかりと開幕前日の練習では、前の週とはうって変わっていい雰囲気で最高の準備をしてくれた。
当日のウォーミングアップも内藤監督のスケジュール通り、順調にメニューを進め、高めるところでは高め、確認するところではしっかりと確認し、最高の準備で試合に臨むことが出来た。

キックオフはコイントスで勝ち風上を選択し、風上の陣地を取る。相手ボールキックオフでの前半スタート。序盤でペナルティのチャンスを2回獲得するも、この日は、宇宙人こと背番号10加藤晴流の調子が絶不調、1本目は真横にタッチキック、2本目はノータッチキックと、中々流れに乗れない時間帯が続く。逆にこちらのペナルティでゴール前ラインアウトのピンチ。モール対策は十分、10cmも押させず2ndストップ、ユーズイットのコール。その後のBK展開で、1番攻められたくない大外へ展開され、相手のラストパスのミスもありノックフォワードかとベンチ目線では思えたが、結果はトライ。想定されていた相手の得点パターンで先制を許す。(吉田からは、1・先制パンチ、2・連続スコア、3・最後の10分と弱者が強者に勝つ際の勝負のキーポイントを言われていたが1つ目はここで叶わず)相手のゴールキックも決まりスコアは0:7。
スコアはされるものの、局面局面ではいいプレーが散見され、力の差はほぼないように見えた。
相手のペナルティでチャンスを得た秋高はゴール前ラインアウトを選択。2回のモールコラプシングを受けながらも最後は力でとりきり、前半は5:7で折り返す。

ハーフタイム時点で負傷者2名、キャプテン寺田は負傷していた肩を再度痛め、テーピングを巻き直してなお再度タックルに行き再受傷。肩を痛めた人なら必ずわかるタックルを躊躇する感情、考えが欠落してしているおかしい人。肩負傷しているから普通にFITジャージを脱げないため、9番のジャージを裂いてまで再テーピングを施し後半開始時には14人でスタートするも23番のジャージを来て、後半3分に合流した。
もう1人の負傷者は1年生馬越。足首を捻挫し、1人では歩けず、肩を借りてベンチまでたどり着いた。彼もまたガチガチのテーピングを施され、動くことのないはずの足を気持ちで動かした男。
その他前半で足をつる選手も散見。No.8大坂はスクラムからのサイドアタックでゴール前からハーフウェイまでゲインしたり、ラインアウトの最後尾からボールを追い越しマークへ到達するなど、持ち前のスピードを活かすも、足をつる。
玄人好みの藤原も前半終了前から足をつり、プレーが止まるごとに伸ばしていた。

 

後半キャプテン不在の時間があるもなんとか耐えしのぎ、相手ゴール前ラインアウトのチャンス。相手が再三に渡り嫌がっているモールを組もうとするが失敗。それでもマイボールをキープし、しつこくショートサイドをつき3番齋藤がトライ!ここでリードを奪う。
しかしこの辺から徐々に疲れが見え始め、前半まで耐え忍んで来たところにDFが届かなかったり、コンディション不良でリザーブに回っていた相手のBKのエースが投入されたりと、こちらがやりたかった連続スコア(3連続トライ)を相手にやられてしまい逆転される。そんな中でも、助っ人…いや、元野球部のラグビー部員が必死で相手やボールを追ったり、一試合で2回肩外しているハードタックラーが同じ方の肩で相手をライトオンタックルでタッチライン外に押し出したりと見ている人が心に来るシーンがいくつもあった。
点差と時間を見て、諦めかけそうな時間でも最後まで戦い抜き最後は意地のトライ。しかしここで無念のノーサイド。

試合後の観客席への挨拶は、6番馬越は自分では歩けず時間がかかり、相手ベンチ、バックスタンド、正面スタンドと回って来たが、観客が誰も帰らずに待っていた正面スタンドからの拍手は近年聞いたことのない大きさで、長く続いた。秋高ラグビーの関係者だけでなくきっと見ている人の心を動かす何かがあったのだと思われる。
結果はついてこなかったが、本当に選手達は出し切ってくれた。15人でこの大会に単独出場してくれてこんな機会に立ち会わせてもらって本当によかった。